尾瀬(尾瀬ケ原、尾瀬沼、至仏山等)を中心に自然情報を提供しております  

尾瀬 ガイドの眼

 

 

尾瀬の各ルートごとの自然解説をしております。

尾瀬ヶ原

 

鳩待峠〜山ノ鼻 上田代
上田代 名前の由来

 湿原中の池塘が並んでいる状態が、小さい田んぼの苗代が並んでいるような感じなので田代と名付けられました。また、5月下旬に雪代による水位の上昇で泥田状態(これを田代という)になるためとも言われています。

コース案内

 上田代は尾瀬ヶ原のうち山ノ鼻から上ノ大堀川までの間をさします。上田代は高山植物やトンボ、そして池塘が数多く存在していることから、尾瀬の魅力を存分に堪能することのできるエリアです。
 山ノ鼻の目の前には研究見本園もあり、時間のない方や尾瀬ヶ原をまわる体力のない方でも楽しむことができます。時間的には一周20〜30分もあれば十分周れますので寄ってみてはいかがでしょうか。ミズバショウやニッコウキスゲはもちろん、ヒオウギアヤメやイワショウブなど様々な高山植物が群生し、唯一ある池塘にはオゼコウホネが咲き浮島もあります。水深があるせいか、コサナエも生息しています。
 研究見本園は猫又川の氾濫原でもあり、栄養分に富んでいることから植物数が多いのかもしれません。
 それと山ノ鼻が混雑して食事をする場所がないときでも、研究見本園にあるベンチが空いていることも多いので、こちらで食事をしてはいかがでしょう。こちらのほうが人も少なく景色もいいので私はいつもここで食べます。
 それでは、いよいよ上田代の案内に移りましょうか。
 尾瀬ロッジの前からいよいよ湿原内に入って行きますが、ここには入山者数をカウントするための赤外線センサーが設置されています。行きだけでなく帰りも右側を通行するようお願いいたします。
 入ってすぐ左手にはミズバショウの群落があります。さらに進むと沢沿いにもミズバショウが生育し、尾瀬にやってきたという雰囲気を実感することでしょう。ここは、ミズバショウ以外にワタスゲやホロムイリンドウも多く生育しており花には困らない場所です。川上川手前の左の湿原は、尾瀬ヶ原で最も多くカキツバタの群落を観察できる場所なので、ここで写真を撮った方も多いのではないでしょうか。

カキツバタ群落
7月中旬頃が見頃

 川上川を越えると拠水林に入ります。ヨシの侵入が目立ちますが、木道の両脇にはリュウキンカが健気に咲き、珍しいタカネスイバも生育しております。また、右側にはオオナルコユリとアマドコロという非常に似たユリ科の花が咲いていますので、両者の違いを観察するには最適な場所です。
 川上川の拠水林を抜けると、そこには一面の湿原が広がっています。登山者が一番感動する場所なのではないでしょうか。木道の両側には池塘が点在し、上田代の水の豊富さが伺えます。この周辺は雪解け以降、やたら油が浮き出してきているのが特徴的です。

上田代
正面が燧ヶ岳・右の小高い山が牛首

 シーズン中には、ほとんどの池塘でイモリの泳いでいる姿が観察できるので、少し立ち止まって観察してみますか。イモリの他にもゲンゴロウやヤゴが泳いでいるかもしれませんよ。さらに、池塘の底を良く見てみましょう。きっとタンポポの葉っぱのようなロゼット状のものがたくさんあるはずです。これは、6月中まではっきりわかるのですが、ヒツジグサの越冬する時の葉っぱなのです。ヒツジグサはスイレンの仲間のため、どうしても水面に出ている葉や花に目をとられがちですが、水底にも葉があるのです。
 さらに進んでいくと、水分を多量に含んだ湿原になり始め、赤みが増してきていくことに気が付くはずです。これは、食虫植物のモウセンゴケが群落しているもので、トンボが飛び交う7月にでもなれば、モウセンゴケに捕らえられたトンボを目撃することができるかも。
 右手に3本のシラカバが見えてくると、第一の休憩所へ到着です。ここまでで山ノ鼻から20分位でしょうか。この休憩所の目の前には透明度の高い池塘があり、逆さ燧が映るため撮影スポットとなっています。丁度いい感じで木道が敷いてありますので、記念写真を撮るのには都合のいい場所です。

上田代・地塘
この景色をバックに記念撮影できます

 上の写真の池塘の他20m程先の右側にある水深2m強の透明な池塘には、尾瀬原産であるオゼコウホネが生育しております。さらにこの池塘の重要なポイントとなるのが浮島。いつも、至仏山からの風が吹いているため燧ヶ岳側の岸辺にへばりついて目立たないのですが、7月にはヒメシャクナゲのピンク色の花が色を添え、尾瀬らしい風景を見せてくれます。
 この池塘周辺にはササが多いのですが、これは、先程鳩待峠から下ってきた時にあったチシマザサと同一種です。では、なぜこんなに背丈が低いのか?
 森林内は樹木があるおかげで、ササは余り風の影響を受けません。しかし、尾瀬ヶ原の場合常に風にさらされ撫でられているので、成長を抑制する物質がササ自体から出されるためなのです。風に倒されないための生態防御機構が働いているということですが、その他にも湿原ゆえ貧栄養地であることも理由の一つです。形態が余りに異なるため、タテヤマザサと別名で呼ぶこともあります。
 先ほどの場所で休憩出来なかった方はそろそろ疲れてきたかもしれませんが、上ノ大堀川の手前にも休憩所がありますので御安心下さい。

 

中田代
下田代
赤田代
長沢新道
八木沢道
段小屋坂
 
 

 

 

 

   
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