マバリーの分類体系 解説


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マバリーの分類体系・簡易解説

 マバリーの分類体系とは、類似性に着目した伝統的分類法(リンネから始まる分類体系など)と異なり、分子系統解析(DNA解析)を反映した分類体系。この体系はクビツキー(維管束植物科属誌・1990年)、APGII(2003年)をもとにした分類体系で2008年に第三版が発表されました(MABBERLEY'S PLANT-BOOK A portable dictionary of plants,their classification and uses)。
 個人的見解ですが、マバリーの分類体系により被子植物のみならずシダ植物や裸子植物の分子系統解析も最終局面にさしかかったのではないでしょうか。現在の日本では、国や都道府県、博物館、図鑑、教育機関でもマバリーは採用していないためエングラーなどの分類体系との違いを一般人は把握できませんが、東京大学の大場秀章名誉教授が出版された「植物分類表」は非常に完成度が高く分かりやすのでお勧めです。
 
 シダ植物はヒカゲノカズラ綱のみからなる小葉植物門と真葉植物門の4綱に分類。裸子植物はソテツ綱・イチョウ綱・マツ綱の3綱に、被子植物はモクレン綱の1綱に集約。
 
 モクレン綱は原始的双子葉類・単子葉類・真正双子葉類の3群に区分。真正双子葉類を例にフローチャートにしてみました。
右へ行くほど(右側の名称が付いている程)進化しているという意味です。
     
   
     
マメ群
   
    バラ亜綱→
アオイ群
   
真正双子葉類→ 中核真正双子葉類→  
   
    キク亜綱→
シソ群
   
     
キキョウ群
   
     
   
           
はじめは、バラやキク・マメなどの意味内容を考えると混乱するため、記号程度と考えればよろしいかと思います。
 
科の変更があったもののうち、尾瀬に生育する植物を幾つか列挙しておきます。
 
・オゼソウ
新:単子葉類・サクライソウ目・サクライソウ科
旧:単子葉植物・ユリ科
 
・キンコウカ、ネバリノギラン、ノギラン
新:単子葉類・ヤマノイモ目・ノギラン科
旧:単子葉植物・ユリ科
 
・ショウジョウバカマ、キヌガサソウ、ツクバネソウ、クルマバツクバネソウ、エンレイソウ、シロバナエンレイソウ、バイケイソウ
コバイケイソウ、ウラゲコバイケイ、シュロソウ、タカネアオヤギソウ、ムラサキタカネアオヤギソウ
新:単子葉類・ユリ目・シュロソウ科
旧:単子葉植物・ユリ科
 
・ユキザサ、ヒロハユキザサ、ヤマトユキザサ、マイヅルソウ、ヒメマイヅルソウ、ヤマアマドコロ、オオナルコユリ
ミヤマナルコユリ
新:単子葉類・キジカクシ目・キジカクシ科
旧:単子葉植物・ユリ科
 
・シラネアオイ
新:真正双子葉類・キンポウゲ目・キンポウゲ科
旧:双子葉植物・離弁花類・シラネアオイ科
 
・ウメバチソウ、コウメバチソウ、ヒメウメバチソウ
新:中核真正双子葉類・バラ亜綱・マメ群・ニシキギ目・ニシキギ科
旧:双子葉植物・離弁花類・ユキノシタ科
 
・シナノキ、オオバボダイジュ
新:中核真正双子葉類・バラ亜綱・アオイ群・アオイ目・アオイ科
旧:双子葉植物・離弁花類・シナノキ科
 
・アカイタヤ、アサノハカエデ、ウリハダカエデ、オオイタヤメイゲツ、エゾイタヤ、オオモミジ、ヤマモミジ、コハウチワカエデ
ハウチワカエデ、コミネカエデ、ミネカエデ、テツカエデ、シバタカエデ、カラコギカエデ、オガラバナ
新:中核真正双子葉類・バラ亜綱・アオイ群・ムクロジ目・ムクロジ科
旧:双子葉植物・離弁花類・カエデ科
 
・エゾアジサイ、ニワアジサイ、ツルアジサイ、ノリウツギ、イワガラミ
新:中核真正双子葉類・キク亜綱・ミズキ目・アジサイ科
旧:双子葉植物・離弁花類・ユキノシタ科
 
・ギンリョウソウ、ギンリョウソウモドキ、シャクジョウソウ、ベニバナイチヤクソウ、コバノイチヤクソウ
ウメガサソウ
新:中核真正双子葉類・キク亜綱・ツツジ目・ツツジ科
旧:双子葉植物・合弁花類・イチヤクソウ科
 
・ヒメアオキ
新:中核真正双子葉類・キク亜綱・シソ群・ガリア目・ガリア科
旧:双子葉植物・離弁花類・ミズキ科
 
・オオカメノキ、カンボク、ケナシヤブデマリ、ミヤマシグレ、ケニワトコ
新:中核真正双子葉類・キク亜綱・キキョウ群・マツムシソウ目・レンプクソウ科
旧:双子葉類・合弁花類・スイカズラ科
 
とはマバリーによる分類体系
 
とは現在図鑑などで使用されているエングラーなどの分類体系(当サイトでは目を省略)
 
 
参考文献:植物分類表 大場秀章 編著

   
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